学術活動

第41回日本薬剤師会学術大会(H20.10.12・13 宮崎県ワールドコンベンションセンターサミット)

薬剤師が行う調剤(ピッキング)のあり方に関する検討
パーキンソン病薬物治療における薬剤師の関わり、並びに長期レボドパ製剤吸収遅延改善への取り組み
~症状日誌の有効利用~

薬剤師が行う調剤(ピッキング)のあり方に関する検討

田中 直哉1)、鈴木 方子2)、中村 華江2)、近藤 澄子2)、田中 秀和2) 株式会社カロン1)、株式会社ピノキオ薬局2)

目 的

保険薬局における薬剤師の業務は多岐にわたる。薬剤師業務は処方せんに基づくピッキングと粉液剤医薬品の調整に多くの時間を費やすのが現実である。薬物療法の治療効果を最大限引き出すためには、患者との対話による服薬状況の確認や服薬指導などが重要であるが、十分に時間が取れないのが現実である。
すでに諸外国では、調剤補助による薬物調整がされているが、日本ではその制度は認められていない。しかし調剤補助を導入することによって薬剤師の服薬指導業務の費やす時間が確保出来るはずである。
すでに我々は調剤過誤防止対策としてバーコートによるチェックシステムを利用しており、システム導入前後の調剤過誤レポートを遡及的に調査することによって、薬剤師以外の人が行う調剤の危険性及び調剤補助の可能性を検討した。また薬剤師に調剤補助業務に関する意識アンケートを行った。

方 法

バーコートを使用した調剤期間と使用しない期間の調剤過誤件数、調剤ミス件数の内容を比較した。その成果に基づいて薬剤師より、調剤補助に関する意識やバーコード調剤に関するアンケート調査を行った。
アンケート項目は
1.バーコートを使用した前後で監査時に気をつける内容の変化
2.時間的配分の変化
3.バーコード調剤導入でのメリット・デメリット
4.バーコードでは解らない監査項目
5.残されている課題
6.調剤補助に関する内容
などとした。

結 果

バーコード調剤の導入により、規格違い、他剤調剤、調剤漏れなどのミスはなくなった。導入したとしても生じうる調剤ミスとして数量ミス、レセコン入力ミスがあげられた。
全体としてバーコード調剤を実施することで調剤ミス・調剤過誤ともに減らすことが可能となった。
アンケート結果より薬剤師の1日の業務が調剤業務ではなく監査と指導等の服薬指導業務に時間がとれれば、より一層の薬物療法の成果に貢献できることが示された。
また、ピッキング業務に関して必ずしも薬剤師でなくてもよいのではないかという意見が示された。

考 察

バーコードによるシステムを更に改善し、法的整備が進めば、調剤補助者が薬剤師の支持の元で調剤することに問題はないと考えている。
薬剤師に求められているものは、薬剤を調製する能力ではなく、薬学的知識やコミュニケーション能力を駆使し、監査服薬指導を充実させ、薬剤的治療効果を最大限に発揮できるようにすることだと考えている。

パーキンソン病薬物治療における薬剤師の関わり、並びに長期レボドパ製剤吸収遅延改善への取り組み~症状日誌の有効利用~

町田匡俊1)、近藤澄子1)、村田良実1)、大森利昭1) 田中秀和1)、小川松夫2)、新島健司3) (株)ピノキオ薬局1)、真岡中央クリニック2)、新島内科クリニック3)

目的

パーキンソン病薬物治療における薬剤師の役割は、薬物治療を最大限に発揮する為の患者への服薬指導、副作用・相互作用のチェック等であるが、病態に関することや食事・運動等について相談を受ける場面が多い。
薬物治療において薬剤師が関与できることを更に検討し、パーキンソン病症状日誌の作成を考えた。
また、パーキンソン病薬物治療において基本的な治療薬であるレボドパ製剤は、長期投与に伴うwearing-off現象、on-off現象などの出現、不随意運動、吸収遅延が生じることが明らかになっている。
今回、長期に渡るパーキンソン病患者の治療において、症状日誌をもとにレボドパ製剤の吸収遅延の改善についても検討した。

方法

1.症状日誌に載せる項目を処方医と検討した。
2.記載項目は、5段階での動きの評価、レボドパ製剤服用錠数・服用時点、食事摂取の時間、ビタミンC摂取の有無、不随意運動の有無とした。動きの評価は1時間おきとした。
3.症状日誌をレボドパ製剤長期服用患者42例に処方医が無作為に配布し、記載してもらい、5段階の動きをグラフ化した。
4.有効回答24例において、患者ごとの処方意図や患者の状態について処方医と検討し、食前服用に切り替える16例を抽出した。
5.16例についてレボドパ製剤の食前服用に切り替えた後の症状日誌を記載してもらい、食後と食前の5段階の動きの比較を行った。
6.症状日誌を解析するため、アンケートを作成し、集計した。

結果&考察

患者アンケートの結果から、症状日誌を用いることで薬剤師、医師と会話がしやすくなったとの意見が多く得られた。
また、動きにくい時間の把握、薬の規則正しい服用の必要性等の理解に繋がったとの意見も得られた。
今回、5段階評価で動きの状態を評価したが、5段階の評価がよいという意見が多く、毎月1回の記載が妥当であった。また、今回作成した症状日誌に加えるとよい内容として、運動(リハビリ)を行った時間・内容、副作用の有無等の意見があったため、相談したいこと等を自由に記載できるメモ欄を新たに追加する必要があると考えられた。また、レボドパ製剤の吸収遅延の改善においては、レボドパ製剤の食後服用から食前服用に変更を提案したことで吸収遅延の改善が見られた。
以上のことから、吸収遅延が予測される例において、レボドパ製剤の食前服用を医師に提案していくためのツールとしても症状日誌を活用していきたい。
【関連資料】
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