学術活動

第42回日本薬剤師会学術大会(H21.10.10・11 滋賀県・びわ湖ホール他)

お薬手帳有効活用の新たな試み~チーム医療における情報共有ツールとして~

お薬手帳有効活用の新たな試み~チーム医療における情報共有ツールとして~

寺戸 靖1)、田中 直哉2)、近藤 澄子1)、田中 秀和1) 株式会社ピノキオ薬局1)、株式会社カロン2)

目 的

医療の多様化と高度化による専門外来が増え、患者は複数の専門外来を個々に受診することになり、多種多様な薬剤が使用され、薬剤の重複、相互作用による危険の頻度が高まっている。お薬手帳は、それらの防止に有効な手段として評価されているが、薬局側からの一方的な情報提供が主であり、患者自身が十分活用しているとは言えない。
そこで、お薬手帳を服用薬剤に関する情報を記録するものであるという概念にとどめず、治療の記録や医師、薬剤師、患者間の情報交換ツールとして活用できるものにすることを目的とした。

方 法

お薬手帳の記載必須事項の他に、新たに「飲みにくい・使いにくい薬はないか?」・「飲み忘れの回数」・「残薬の有無と数量」・「お薬手帳に記載していない薬・健康食品の服用の有無」・「気になる体調の変化」・「その他気になること」の6項目を記入できるよう様式を追加した。服薬指導時に薬剤師が記入し、次回受診までに該当項目があれば患者に記載させ、その内容を処方医に見せるよう指導した。
ピノキオ薬局の26店舗で実施し、平成21年4月1日より実施した。活用事例に関しては、事例報告シートを記入させ集計した。また、これらの項目を更に充実させるため、6項目に関する意見や改善点などに関するアンケートを実施した。

結 果

お薬手帳の様式変更後、「飲みづらい薬が薬剤師の指導により飲みやすくなった」・「いままで医師に言えなかった残薬があったが、残薬調整ができた」・「気になっていた体調変化を医師と相談するきっかけとなった」など、様々な事例の報告があった。薬剤師に行ったアンケートでは、それぞれの記載事項についての有用性や改善点など今後の改善に向けて様々な意見が得られた。

考 察

今回の取り組みにより、お薬手帳が情報交換ツールとして有効に利用される機会が増えたと考えている。残薬調整などの事例でも示されたようにコンプライアンス不良の発見にも有用であり、処方医がお薬手帳の有用性を理解し活用すれば、薬物治療の質の向上につながると考えている。また、お薬手帳を活用する薬剤師の意欲や服薬指導にも変化が見られた。この活動を続け、薬剤師としての職能を更に発揮すべきであろう。
我々は既にアンケート結果で示された様々な意見を取り入れ、項目の変更を行った。今後は、更にお薬手帳を用いた情報提供の質の向上を図るつもりである。