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第15回薬局学会学術総会 

第15回薬局学会学術総会 (11月6日・7日)

処方箋検査値記載がもたらす薬剤師業務の質向上
「薬局プレアボイド報告」薬剤師職能の可視化によって明らかになった医薬分業の成果 ~報告状況の分析と実例報告第3報~
薬の専門家として積極的提案を!~往診同行からみえた在宅医療における薬剤師の役割~
薬局で実施する栄養相談の新しい形

処方箋検査値記載がもたらす薬剤師業務の質向上

寺戸靖

目的

近年、処方箋に検査値を記載している医療機関が増え、薬局薬剤師は検査値を把握した上で患者対応し、処方薬の投与可否や用量調節の提案が容易になりつつある。検査値記載が、薬局薬剤師の疑義照会や服薬指導等の対人業務にどのように影響したかを検討した。

方法

2019年3月1日~2020年6月30日に行われた、検査値が記載されている処方箋における疑義照会(件数、処方変更の有無、検査値項目、内容)を調査し、検査値記載前の2018年9月1日~2019年2月28日と比較した。

結果

検査値記載後の全疑義照会3998件のうち、検査値に基づく疑義は72件(1.8%)であり、その内、処方変更あり18件(25.0%)、変更なし54件(75.0%)であった。検査値項目別では、腎機能55件(76.4%)、肝機能16件(22.2%)、白血球とカリウム値が各1件(1.4%)であった。検査値記載前の検査値に基づく疑義は2件であった。検査値記載により、検査値に基づく疑義は有意に増加した(p<0.05 χ2検定)。検査値に基づき、処方変更となった症例を以下に記載した。タダラフィルが処方された70代男性では、腎機能の値より5mgから2.5mgへ減量となった。アトルバスタチンが処方された60代女性では、肝機能の値よりエゼチミブへ処方変更となった。トリフルリジン・チピラシル塩酸塩を新規処方された70代女性では、肝機能と白血球の値が開始基準を満たしていなかったが、治療上必要なため経過観察しながら、薬剤師がテレフォンフォローアップを行い、副作用の早期発見、重篤化の防止が出来た。検査値記載のない医療機関より転院し、ファモチジンを継続服用していた70代男性では、腎機能低下を確認し減量となった。

考察

処方箋に検査値が記載されることで、検査値に基づく投与の可否や用量調節等の疑義照会が容易になった。多くの医療機関で検査値が記入された処方箋が導入されることにより、薬剤師が介入し、より適切な薬物治療が行われると考える。
【関連資料】
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「薬局プレアボイド報告」薬剤師職能の可視化に よって明らかになった医薬分業の成果 ~報告状況の分析と実例報告第3報~

篠原 祐樹

目的

医薬分業における薬剤師職能の可視化のため2017年からプレアボイド報告の解析を行ってきた。この度、新たなプレアボイド報告フォーマットを用いた事例が蓄積され、「活用した情報源」や「検査値から判断した事例の割合」等が解析できたため報告する。

方法

2019年5月7日~2021年5月20日に報告されたプレアボイド1209件を解析した。調査項目は、理由、成果、情報源などとした。

結果

報告するに至った主な理由は、「同系統薬の重複」28.6%、「用量の誤り」16.5%、「副作用歴あり患者への投与」11.8%、「併用禁忌・併用注意の処方」が8.77%であった。薬剤師の関与により得られた成果は、「副作用の可能性を回避」74.52%、「症状悪化の可能性を回避」21.8%であった。
プレアボイド報告のために最も重要だった主な情報源は、「患者・介護者とのやりとり」24.9%、「薬歴からの情報」24.2%、「お薬手帳」23.3%、「処方箋のみ」21.4%であった。
「検査値から判断した事例」は5.0%であり、検査値が併記されている処方箋を主に応需する薬局ではその割合が21.5%であるのに対し、併記されていない処方箋を主に応需する薬局では2.9%であった。
全報告のうち、「複数病院の処方情報から判断した事例」は26.5%、「単独病院だが複数診療科からの処方情報から判断した事例」は3.5%であった。また、重複投薬や過量投与に対する減薬等の対応により「医療費削減効果がある事例」は46.2%であった。

考察

お薬手帳による服薬情報の一元的管理、投薬時の問診による服薬情報の継続的把握により、副作用の発生・重篤化を回避でき、薬剤師関与の重要性が示された。薬局で得られる情報源には限りがあるが、検査値が併記されることで報告数が増えたことから、処方箋への検査値併記を含めた情報開示を求めたい。薬局で得られる情報が増えることで、更に薬剤師職能の可視化や他職種・患者への認知を高めることが可能と考える。
【関連資料】
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薬の専門家として積極的提案を! ~往診同行からみえた 在宅医療における薬剤師の役割~

小椋 章次

目的

高齢化社会が進むにつれ、医師による在宅訪問診療の機会は確実に増えており、薬剤師もそこに同行し助言を求められることも少なくない。当薬局においても往診同行するケースが増えてきており、その中で積極的に医師と連携し、患者の治療成績向上に結びついた例が集積されたので報告する。

方法

2020年4月~2020年12月に、往診に同行した33名の患者の中で関与した例を、収集分析した。

結果

処方変更は、患者数33名中31名、総計119件であった。そのうち、薬剤師の関与が認められたのは45件(38%)で、同行時相談をうけるが29件、処方提案を行うが16件であった。医師からの相談事例で一番多かった質問は、用量に関するもの7件、ついで粉砕の可否6件、薬効に関するもの5件、作用強度に関するもの3件であった。薬剤師からの提案事例の中で、患者の治療に貢献できた例の一部を示す。
1.パーキンソン病患者で本人、施設看護師から不眠の強い訴えあり。BZ系の薬剤変更や、ベルソムラ®処方となるが、効果は得られなかった。施設看護師から日中にパーキンソン症状も生じているとの情報を得たため、パーキンソン病からくる不眠の可能性を考え、プラミペキソール増量を提案。その後、日中のパーキンソン症状、不眠とも改善された。
2.手の震えを訴えていた患者。医師は自律神経失調症を疑いトフィソパムを処方されたが、効果は乏しく、本態性振戦を考慮しアロチノロールを処方提案。震えは改善したが、血圧は低下傾向。そこで、アロチノロールの減量を提案。その後、血圧安定、手の震えも改善されている。

考察

今回の結果からも、処方設計に薬剤師が大きく関与できることが明らかになった。往診同行では、その場で医師に質問されるなど、薬剤師はその能力が問われる。同時にチーム医療の一員として、薬剤師の職能が大いに発揮される機会でもあり、積極的に取り組んで医療へのさらなる貢献に努めたい。
【関連資料】
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薬局で実施する栄養相談の新しい形

加藤 誠一

目 的

薬局においても管理栄養士(以下RD)は、栄養相談により食生活の面から治療を支援するようになった。特に糖尿病治療では、薬物治療後も食事療法を継続する必要があるが、薬局における栄養相談は薬剤師との連携が求められ、調剤業務と並行するため時間的制約もある。
そこで、社内認定糖尿病スペシャリスト研修を行い、食事記入表、改善提案表を作成して薬剤師とRDが連携して糖尿病患者に対して栄養相談する体制を構築し、実施したところ、成果が得られたので報告する。

方 法

2021年2月から4月に来局した糖尿病患者に対して、薬剤師が栄養相談の希望を聴取し、希望者11名(男性3名、女性8名、平均年齢70.4歳)に3日分の食事内容の食事記入表への記入と提出を求めた。RDは食事内容を検討し改善提案表を作成、薬剤師と連携し電話対応した。RD不在の店舗では、他店舗所属RDと連携した。希望者については、経過を処方医に提供した。

結 果

他店舗所属RD対応は11例中9例であり、スムーズに栄養相談を実施できた。栄養相談後のHbA1cは平均7.05から6.6に低下した。飲酒は4名に見られ、いずれもHbA1cは高かった。過去の栄養指導歴は、2名が医師から、2名がRDから指導有、7名は未指導だった。
症例:73歳女性。2020 .11より糖尿病を指摘され加療中。食事への意識も高い患者。3食のバランスは比較的よいが間食で糖分摂取が多く、果物が過剰摂取傾向、摂食速度が速いことを確認。炭水化物の減量、果物は1日に手のひらに乗る程度、食べる順番や速度の改善等を提案、その内容を医師にも報告した。1か月後の検査ではHbA1cが6.8から6.6に低下した。

考 察

食事記入表、改善提案表を用いた栄養指導により、食生活を改善しHbA1cの適正化に貢献できた。RDが常駐しない店舗でも薬剤師とRDの連携は可能であった。
11例は全て個人病院に通院する患者であり、栄養指導を受けていない患者も多く、薬局での栄養相談の有用性が示唆された。
【関連資料】
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