学術活動
第45回日本薬剤師会学術大会(H24.10.12・13 静岡県浜松市)
インスリン適正使用確認表を用いた継続指導による治療効果の改善
業務初日でも発注できるようにと薬局薬剤師が作成した発注システムとその効果
業務初日でも発注できるようにと薬局薬剤師が作成した発注システムとその効果
インスリン適正使用確認表を用いた継続指導による治療効果の改善
篠原 祐樹1)、齋藤 由佳1)、中澤 香代子1)、森脇 久実子1)、田中 直哉2)、近藤 澄子1)、田中 秀和1) 株式会社ピノキオ薬局1)、株式会社カロン2)
目 的
インスリン製剤は、使用方法や保管など患者の自己管理が重要であり正しく使用されなければ治療効果は十分に得られない。インスリンの使用年数が長くなると、自分の使用方法が適正だと思うと共に、簡略化してしまうことがある。そのため服薬指導時に使用方法に関して指導しても出来ていると答える患者が多い。
そこで、インスリン使用患者に対する理解度と使用方法を調査し個々の問題点を明確化すると共に、インスリン適正使用確認表を作成することで、その問題点を解決するまで継続的に指導し、患者理解度と治療効果を向上させることを目的とした。
そこで、インスリン使用患者に対する理解度と使用方法を調査し個々の問題点を明確化すると共に、インスリン適正使用確認表を作成することで、その問題点を解決するまで継続的に指導し、患者理解度と治療効果を向上させることを目的とした。
方 法
2012年3月1日~4月14日に来局したインスリン使用患者(ランタス・レベミルのみ使用患者を除く、フレックスペン型使用患者) 109名に対し8項目のアンケート調査を実施し、年齢、使用歴、初回指導者も確認した。
また、インスリン適正使用確認表を用い必要に応じて患者へ指導を行い、その後の変化を来局時に口頭にて聞き取り調査を行った。
また、インスリン適正使用確認表を用い必要に応じて患者へ指導を行い、その後の変化を来局時に口頭にて聞き取り調査を行った。
結 果
アンケートに回答した患者は50代以上の中高年の患者が大半を占め、インスリンを10年以上使用している患者が半数以上と、長期間使用している患者が多かった。
「針を毎回交換できている」(93.6%)、「インスリンを正確なタイミングで注射できている」(91.7%)、「インスリン使用単位を正確に覚えている」(88.1%)は、理解は良好であった。
また、「空打ちを毎回行っている」(77.1%)、「適切に懸濁できている」(75.0%)、「注射後数秒間数えてから針を抜いている。その際、ボタンを押したまま針を抜いている」(59.6%)、「適切に保管できている」(44.0%)、「インスリンの名前を正確に覚えている」(20.2%)は、理解は低かった。
理解できていない項目に関して指導を行い、次回来局時に再度確認を行ったところ、改善が見られた。また、使用方法改善によりインスリン使用単位数を減らせた患者も数名いた。
「針を毎回交換できている」(93.6%)、「インスリンを正確なタイミングで注射できている」(91.7%)、「インスリン使用単位を正確に覚えている」(88.1%)は、理解は良好であった。
また、「空打ちを毎回行っている」(77.1%)、「適切に懸濁できている」(75.0%)、「注射後数秒間数えてから針を抜いている。その際、ボタンを押したまま針を抜いている」(59.6%)、「適切に保管できている」(44.0%)、「インスリンの名前を正確に覚えている」(20.2%)は、理解は低かった。
理解できていない項目に関して指導を行い、次回来局時に再度確認を行ったところ、改善が見られた。また、使用方法改善によりインスリン使用単位数を減らせた患者も数名いた。
考 察
インスリン適正使用確認表を用いて指導することで治療効果が得られたことから、薬剤師が積極的にインスリンの適正使用を確認し指導すべきであることが示された。
現在、患者の理解度を更に高めるためのシートの作成、アンケート結果をフィードバックしたインスリン適正使用電子ポスターを掲示し、啓蒙を続けている。
現在、患者の理解度を更に高めるためのシートの作成、アンケート結果をフィードバックしたインスリン適正使用電子ポスターを掲示し、啓蒙を続けている。
業務初日でも発注できるようにと薬局薬剤師が作成した発注システムとその効果
田中 直哉2)、近藤 澄子1)、田中 秀和1) 株式会社ピノキオ薬局1)、株式会社カロン2)
目的
発注ミスにより欠品が生じた場合患者サービスの低下を招くため、発注業務は薬剤師が行うことが望ましい。
現在、自動発注システムが多数製品化されているが、実際には過剰在庫、欠品リスクの増加、頻回発注、導入コストパフォーマンス等の問題もあり、発注に要する時間は軽減するものの、人による発注と同程度の発注を行うことは難しい。
そこで、「過剰在庫にならない(回転率を上げる)」、「薬剤師でなくても発注できる」、「欠品率を減らす」、「発注時間を短縮する」、「入庫伝票枚数を多くしない」、「導入費用を抑える(維持費はゼロにする)」「完全自動発注にはしない」ことを目的として新たに発注システムを構築することとした。
現在、自動発注システムが多数製品化されているが、実際には過剰在庫、欠品リスクの増加、頻回発注、導入コストパフォーマンス等の問題もあり、発注に要する時間は軽減するものの、人による発注と同程度の発注を行うことは難しい。
そこで、「過剰在庫にならない(回転率を上げる)」、「薬剤師でなくても発注できる」、「欠品率を減らす」、「発注時間を短縮する」、「入庫伝票枚数を多くしない」、「導入費用を抑える(維持費はゼロにする)」「完全自動発注にはしない」ことを目的として新たに発注システムを構築することとした。
方法
発注システムを平成23年10月32店舗に導入した。
平成23年8月~9月と平成23年11月~平成24年1月における在庫回転率(1ヶ月の使用薬剤金額÷在庫金額)と欠品率を比較した。
その上で、欠品した薬剤の使用状況を分析し、欠品リスクの高い薬剤の発注方法を検討した。
平成23年8月~9月と平成23年11月~平成24年1月における在庫回転率(1ヶ月の使用薬剤金額÷在庫金額)と欠品率を比較した。
その上で、欠品した薬剤の使用状況を分析し、欠品リスクの高い薬剤の発注方法を検討した。
結果
発注システムは、欠品リスクと使用状況から発注点と発注数量を自動算出するよう構築した。
欠品リスクの低い薬剤に関しては自動発注とし、欠品リスクが高い薬剤に関しては完全自動発注とはせず、発注支援を行うシステムとして構築した。
発注システムは汎用性があるように、レセコンからの在庫数情報と患者毎に抽出した処方データを基に次回予定日と過去の使用実績とから発注判断するシステムとした。
発注システムの導入により欠品率を導入前後比で33.3%減少させることができたが、在庫回転率に関しては、前後比で8.3%減少してしまった。また、発注に関わる時間も減少することができた。
欠品リスクの低い薬剤に関しては自動発注とし、欠品リスクが高い薬剤に関しては完全自動発注とはせず、発注支援を行うシステムとして構築した。
発注システムは汎用性があるように、レセコンからの在庫数情報と患者毎に抽出した処方データを基に次回予定日と過去の使用実績とから発注判断するシステムとした。
発注システムの導入により欠品率を導入前後比で33.3%減少させることができたが、在庫回転率に関しては、前後比で8.3%減少してしまった。また、発注に関わる時間も減少することができた。
考察
システム導入後欠品した薬剤の中には、システムを正しく活用することで防ぐことが出来た薬剤も存在することから、運用検証が導入直後のため使用方法が完全ではなかったかもしれない。システムの機能をより活用することで更に欠品率と在庫金額を減少できるのではと考えている。
在庫回転率を増加させる目的は果たせなかったものの減少率はわずかであり、欠品率を大きく減少させ患者サービス向上したことを考慮すると利点のほうが多かったと考えている。
医療事務の発注を検証している店舗においても運用に問題は無いため、発注業務を薬剤師から移管することも可能と考えている。
在庫回転率を増加させる目的は果たせなかったものの減少率はわずかであり、欠品率を大きく減少させ患者サービス向上したことを考慮すると利点のほうが多かったと考えている。
医療事務の発注を検証している店舗においても運用に問題は無いため、発注業務を薬剤師から移管することも可能と考えている。