ピノキオ薬局は、栃木県内を中心に大型調剤薬局を主とした店舗を展開している保険調剤薬局です。

第10回日本くすりと糖尿病学会学術集会

第10回日本くすりと糖尿病学会学術集会(2022年9月17日・18日)

社内認定薬剤師による糖尿病患者への積極的介入

社内認定薬剤師による糖尿病患者への積極的介入

加藤 誠一1、田中 直哉2、寺戸 靖1、篠原 祐樹1、近藤 澄子1 (株式会社ピノキオ薬局1 株式会社ピノキオファルマ2 )

目的

2021年2月末、20名に対して糖尿病に関する社内研修(病態知識、合併症に関する対応方法、食事指導、運動療法、シックデイ対応、フットケアについて等)を実施し、要件を満たした9名を社内認定薬剤師とした。認定者には、情報提供の必要性を判断し患者に合わせて対応させ、実施できた症例を各自3例報告させた。全27例を解析し、患者の傾向や指導内容、HbA1cの変化について分析した。

方法

抗がん剤処方患者に、保険薬局からの電話連絡及びその情報の病院との共有の可否について院内で同意を得た上で、来局時に患者への連絡日を決定した。TF実施時はPに基づいて服薬指導を行い、得た情報をトレーシングレポートで病院と共有した。

結果

27例中、眼科受診有が9例、残りの18例中10例に対して受診勧奨・情報提供を実施、そのうち3例が受診した。また、歯科受診有は3例、残りの24例中18例に対して受診勧奨・情報提供を実施、4例が受診した。
シックデイについて医師からの指導有は9例であり、残る18例の患者に説明が必要と判断され、7例に対応を説明した。同様にフットケアでは医師の指導有は3例であり、残る24例中19例に対応した。
栄養相談が不要と判断されたのは、医師の指導有2例、栄養士の指導有1例、問題無1例、拒否4例であり、残る19例中17例に栄養相談を実施した。運動療法では、医師の指導有1例、問題無5例を除く21例中17例に対応した。
数値の前後変化が確認できなかった3例を除く24例のHbA1cの変化は平均で-0.4(符号付順位和検定:p=0.019)、中央値は-0.35であり、18例が減少した。

考察

ある調査では糖尿病患者の眼科未受診率は60%を超えるとの報告があり、今回の結果も同様(未受診率66.6%)であったが、薬剤師が積極的に啓蒙することで定期受診につなげることができた。
シックデイやフットケアなどの知識が不十分な患者が一定数存在し、そのケアに薬剤師が関わっていくことが今後ますます重要になってくるであろう。
【関連資料】
第10回日本くすりと糖尿病学会学術集会