ピノキオ薬局は、栃木県内を中心に大型調剤薬局を主とした店舗を展開している保険調剤薬局です。

第20回日本口腔ケア学会総会・学術大会/第3回国際口腔ケア学会総会・学術大会

第20回日本口腔ケア学会総会・学術大会/第3回国際口腔ケア学会総会・学術大会(2023年4月20日、21日)

口腔ケア学会でピノキオ薬局のオーラルケアの取り組みについて発表してきました。
近年口腔ケア領域において、薬局薬剤師と歯科医師・歯科衛生士との連携が注目されてきております。
ピノキオ薬局では何年も前から口腔ケアの重要性について着目し取り組んできました。
その中で今回は、歯科受診勧奨の取り組みと患者アンケート実施の結果について報告しました。

薬局が行う歯科受診勧奨およびオーラルケア対応の研修成果

荏原俊介

目的

オーラルフレイルはフレイルの原因の一つである。そこで薬剤師が口腔症状へ適切な対応できるよう社内研修を実施した。

方法

2022年9月にオーラルケアの社内研修を実施後、同年12月14日までに患者対応した薬剤師129名に、歯科受診勧奨やオーラルケア商品紹介等の実施に関するアンケートを行った。
歯科受診勧奨が必要となる場合は、連携強化を目的とした歯科受診連絡カード(自社作成)を配布した。

結果

受診勧奨できた薬剤師は19名、歯科受診を確認できた薬剤師は5名、受診無は2名、12名は来局無等による未確認であった。連絡カードは6名が利用し、歯科医師からの回答は0名であった。
オーラルケア商品の対応は47名、その事由として来局者に何らかの症状があったが13名、来局者がオーラルケアに興味を示していたが24名、両方が10名、薬の副作用が1名であった。
また、薬剤師の介入により、「入れ歯があわず咀嚼に支障があったが、歯科医師の在宅療養を手配し、メンテナンス後摂食可能となった。」、「歯茎の腫れがあり薬の購入を求めていたため歯科受診勧奨し改善した」などの成果が得られた。

考察

薬局利用患者のうち歯科受診勧奨が必要なケースも多い。症状改善に結び付く例もあり、薬局がオーラルケアの窓口となりうることが示唆された。
研修受講薬剤師からは、口腔ケアや受診勧奨に関する意識が向上したとの意見も得られ、さらに積極的に取り組んでいきたいと考える。
【関連資料】
第20回日本口腔ケア学会総会・学術大会/第3回国際口腔ケア学会総会・学術大会

薬局の口腔ケアサポートに対する患者意識調査

加藤誠一

目的

オーラルフレイルはフレイルとの関連性が指摘され、口腔ケアの重要性が注目されている。
歯周病は30代の約7割にその兆候が見られ、より若い世代からの取り組みが重要である。
薬局は健康サポート機能を担う施設として口腔ケアに関わっていくべきであるが、一般市民がどのように薬局を認識しているか、現在の口腔ケア状況と合わせて調査したので報告する。

方法

2022年12月17日~25日の期間で、栃木県内のピノキオ薬局グループ46店舗に来局した20代~50代の患者に対してアンケートを実施し、集計分析した。

結果

750名に依頼し、732名の回答が得られた。
有症状者は520名(71%)、歯の着色が253件と一番多く、口臭や歯がしみる等が続いた。
一方、治療・予防等で歯科受診しているのは327名であり、405名は未受診だった。
歯の健康が体の健康に関わるとの認識は、259名がよく知っている、418名が聞いたことはあるとの回答だった。
薬局での口腔ケアサポートについての印象は、積極的にやってほしい99名、何かあれば相談したい467名、わからない129名、やらなくてよい21名他であった。
有症状者及び歯と体の健康の関係を認識している人では、薬局のサポートに期待する人が有意に多かった。(p<0.01)

考察

症状がありながら受診していないケースが約半数に見られ、この患者層に早期受診や適切な対応を呼びかけることが必要である。
薬局に期待する声は多く得られ、薬局のミッションとして、口腔ケアの啓蒙や早期の受診勧奨をより積極的に行うことが重要であると示唆された。
【関連資料】
第20回日本口腔ケア学会総会・学術大会/第3回国際口腔ケア学会総会・学術大会