ピノキオ薬局は、栃木県内を中心に大型調剤薬局を主とした店舗を展開している保険調剤薬局です。

保険薬局の備蓄状況について -アンケート調査結果より-

保険薬局の備蓄状況について -アンケート調査結果より-()

保険薬局の備蓄状況について -アンケート調査結果より-

保険薬局の備蓄状況について -アンケート調査結果より-

栃木県 昭和大学大学院薬学研究科 田中 秀和 (株)ピノキオ薬局 石崎 祥大 佐藤 哲

目 的

医薬分業の進展とともに、多数の医療機関から処方箋を応需するようになった。約1万4千種の薬剤を備蓄できるはずもなく、 各薬局は処方せん薬の確保に奔走している。
1軒の薬局がかかえる備蓄も増え、使用期限を超えた廃棄薬剤も生じていると思われる。今回、保険薬局の備蓄と廃棄の現状を調査し、保険薬局の今後の方向性を検討した。

方 法

分業先進地区の佐賀県(H11年度の分業率 58.3%)と東京都(47.3%)、分業後進地区の石川県(7.9%)と福井県(8.7%)、栃木県(22.7%)の 保険薬局のうち、無作為に選んだ1165軒にアンケート用紙を郵送し、本年4月時のデータについて調査をした。
308軒(回収率26%)から回答を得た。

結果&考察

調査したいずれの地区においても、備蓄薬品数は増えているとの回答が80%以上であった。
また、同種同効薬数はCa拮抗薬では平均7.0種類、抗コレステロール薬では平均4.7種類であった。薬局1軒の昨年度の平均廃棄医薬品額は152,742円、現在の平均廃棄予備医薬品額は733,651円であった。全国33,454軒の保険請求薬局が約70万円の損失を出した場合、全体で230億円になり、経営上大変無駄になっていることが判明した。
現状では、備蓄外医薬品の調達には、調査したすべての地域で分割販売(平均17.2%)より会営薬局(平均41.5%)の利用が 多い結果であった。
また、ほとんどの薬局で備蓄外医薬品の処方せん薬を1日以内に患者に手渡す努力をしていた。卸の売上構成は病院から薬局へシフトしてきており、卸の競争と薬局の要望とが結果的に分割販売を推進してきた。
しかし、時間がかかることと必要な医薬品の扱いがない場合があることが分割販売の欠点として挙げられ、 改善を望む声が多かった。また、あわせてメーカーには、医薬品の小包装での販売を望む意見も多かった。薬剤の適性使用における医薬品情報の重要性が認識されてきており、今後国民から医薬分業が支持されるであろう。同時に薬剤師の業務が患者、医師から信頼される様になれば、代替調剤やジェネリック医薬品の使用などの提言が 出来るようになると推測される。
今後の薬剤師のさらなる努力が、不要薬の少ない適性在庫での薬局経営に大きく関与するものと考えられる。