ピノキオ薬局は、栃木県内を中心に大型調剤薬局を主とした店舗を展開している保険調剤薬局です。

日本薬学会第144回年会

日本薬学会第144回年会(2024年3月28日~31日)

マイナ保険証のピノキオ薬局での利用状況について報告しました。

マイナ保険証始まる!~保険薬局で見えてきた問題点~

寺戸 靖1、田中 直哉2、篠原 祐樹1、加藤 誠一1、近藤 澄子1 、田中友和1(株式会社ピノキオ薬局1 株式会社ピノキオファルマ2 )

目的

【目的】マイナンバーカード(以下、カード)は医療情報を有効に活用する国の施策として普及が推進されている一方、薬局での連携率は全国平均で2%程度にとどまっている。
当薬局では、カード開始早期から使用環境を整備し、カード利用の掲示や声掛けに積極的に取り組んできた。その結果2023年10月時点の連携率は全国平均よりも高い11.2%(1.03%〜40.7%)であるが、さらに高めていくことが求められる。そこで、カードの
利用状況と連携率向上を阻む要因を検討した。

方法

2022年10月から2023年9月に来局した患者について、当薬局の薬剤師147名・医療事務92名(管理栄養士12名を含む)に利用状況に関するアンケート調査を行った。

結果

カードを活用した項目と人数は、薬剤師が併用薬57名(38.8%)、健康診断結果50名(34.0%)、医療事務がオンライン資格確認90名(97.8%)であった。対応に苦慮する事例を経験した人数は、カードの持参忘れ140名(58.6%)、カードに否定的で持参しない122名(51.0%)、情報閲覧提供の拒否60名(25.1%)、顔認証の不具合57名(23.9%)、情報更新が遅いため最新情報の閲覧不可48名(20.0%)、暗証番号が不明37名(15.5%)、保険証と患者の紐づけ間違い10名(4.2%)であった。その他、保険証紐づけを拒否、紙保険証は月1回だがカードは毎回で面倒と拒否された等があった。

考察

保険薬局でカードを利用することにより、情報確認をスムーズに行うことが可能となり、適切な薬物治療の提供に繋がっている。しかし、カードに否定的である、カードの持参を忘れる、等が多く存在し紙の保険証と比べると携帯している患者は少ない。また、システム面では顔認証の不具合、情報更新の迅速さや紐づけの間違いなど解決すべき問題点がある。連携率上昇のためには、カードや制度へのイメージ向上、理解のための更なる丁寧な周知説明、システム整備が必要であることが示唆される。
【関連資料】
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