学術活動

第5回日本薬局管理学会年会(H22.6.27 東京・津田ホール)

いまさらですが、お薬手帳について

田中直哉・飯生理恵・近藤澄子・田中秀和 ピノキオ薬局・カロン薬局

【要旨】

 

薬剤師が社会から評価されている国があるなかで、日本の薬剤師は一向に国民において評価されず、いまだに薬剤師業務すらあまり認識されていないのが実情である。薬剤師が評価されるためには、安全管理を徹底する必要がある。OTC分類や登録販売員の制度も施行されたが、薬剤師の関与は国民から評価される状況にない。分業率が伸び悩むなか、調剤業務以外の業務を模索している薬局も多い。しかし薬剤師として求められているものは、副作用、禁忌、相互作用などを個々の患者ごとに一括して管理し、患者の安全と安心を守ることである。そのような安全管理を追及するために、携帯電話を用いたサービスを検討する報告や厚生労働省による社会保障カード(仮称)の制度(WEB処方歴)設計に向けた検討のための実証事業が始まったが、現時点では薬局薬剤師業務を行ううえでは、お薬手帳は重要な情報源である。既に各薬局は、お薬手帳の普及、適性使用、携帯率上昇のために、さまざまな取り組みを行い学会や論文等で報告してきた。当薬局においても、学会・論文報告、薬局関連雑誌取材、電子薬歴メーカーへの情報提供などを行いお薬手帳の普及に努めてきた。しかしながら、お薬手帳に関する取り組み、保険請求の有り方に関して、「無説明」、「強制配布」、「不正算定」、「患者情報未確認未記入」、「併用薬未確認」などの薬局間の実施内容に差が著しく、患者クレーム要因の一つである。これらのクレームは、インターネット上にて多数の書き込みがあり、薬剤師としてのモラルが問われている。このようなモラルの低い薬局の存在がお薬手帳の適正使用が進まない要因の一つと思われる。また、退院時薬剤情報管理指導料が算定できるようになり、退院時処方を記載する病院も増えてきてはいるが、保険薬局、ドラッグストア、病院、医院においてお薬手帳に関する意識が異なり、保険薬局以外での活用は限られている。そのような現状で薬局薬剤師が安全管理を行うためには、自店舗での調剤にかかわる内容をお薬手帳に記載するのみではなく、来局した患者に関する記載されるべき全ての情報を記載することで、適正使用を実現するしかない。まずはお薬手帳を活用し患者を把握し管理するような取り組みを保険薬局が実施し、他業種の模範とならなければならない。お薬手帳は、保険改正の際に唯一保険薬局業務内で評価されている項目と言われており、医薬分業の観点からも保険薬局が先頭にたち、お薬手帳の適正使用を啓発していく必要がある。この場を借りて、お薬手帳に関する問題点、クレームを検討し、正しい説明と適切な保険請求と活用方法を再認識し共有したいと考えている。WEB処方歴のような事業が順調に進み、全国規模に行われれば、現在使用しているお薬手帳は使われなくなることが予想される。しかし、現在薬剤師として育むべきは、お薬手帳を用いて、個々の患者を把握し管理する能力であり、患者の服薬、健康状況を把握し安全の為に薬剤師として貢献すべきである。いまさら、であるが、お薬手帳を再認識し、社会から評価される薬剤師を目指せたらと考えている。
当薬局では、レセコンから出力されるお薬手帳の形式を変更し患者情報の把握に努めている。また、処方内容に応じて、その処方薬に関連のあるお薬手帳に貼付するシールの一覧を自動で選択するシステムを開発した。そのプログラムを利用し、特定薬剤管理指導の対象となる可能性の薬剤が処方となったときに、情報を提供できるよう準備している。お薬手帳を用いた患者サービスを充実させたいと考えている。