学術活動

第20回日本医療薬学会(H22.11.13・14 幕張メッセ)

保険調剤薬局における経口抗がん剤副作用早期発見への取り組み
TS-1チェックリストの作成と評価

保険調剤薬局における経口抗がん剤副作用早期発見への取り組みTS-1チェックリストの作成と評価

佐藤圭(1)・田中直哉(2)・近藤澄子(1)・寺戸靖(1)・田中秀和(1)・矢島毅彦(3) (1)株式会社カロン・(2)株式会社ピノキオ薬局・(3)NPO法人 Health Vigialance 研究会

目 的

外来化学療法では、病院薬剤師による積極的介入は難しく、薬局薬剤師が安全管理を行なわなければならない。しかし、調剤薬局では、患者情報収集が不十分で、服薬指導も十分にできていない可能性がある。TS-1はほぼ全例に何らかの副作用が発現するため、体表面積における投与量・腎機能などの初回確認事項の徹底・副作用の情報提供および継続して評価・検討等をしていくことが必須であり、必ずしも現在行えているとは言えない。このような問題を改善していくため、チェックリスト(以下ツール)の作成を行ない、服薬指導の充実化・副作用の早期発見を目的とした。

方 法

基幹病院前の7店舗において、平成22年2月1日から7月30日までツールを試用した。副作用は、調剤薬局において確認可能である悪心・嘔吐・食欲不振・口内炎・発疹・発熱・下痢・色素沈着・味覚障害・涙目の10項目とし、発現状況と重症度分類は、有害事象共通用語規準v3.0に基づいた。服薬指導項目や副作用確認項目に関して、薬剤服用歴を遡及的に調査し、ツール使用前後で比較した。

結果&考察

副作用10項目は全91症例中62例(68%)で認められ、全136件中、減量・休薬を考慮するグレード2(発熱はグレード1)以上は39件(29%)認められた。副作用の発生確認時期はTS-1投与後、2~4週間後の初期に集中していた。またツール活用で、悪心・嘔吐・食欲不振・発疹・色素沈着・味覚障害・涙目の指導頻度、全項目の指導達成率も有意に上昇した。これまでメーカー作成のTS-1手帳を用いて副作用の指導を行っていたが、副作用発見には投与初期から全10項目の指導を徹底することが重要であることが示された。ツールに重症度分類(判定基準)を加えたことで、副作用の発現状況が明確となり、これまで疑義照会まで至らなかった症例において疑義照会をかけることが可能となった。薬剤師は限られた副作用を繰り返し確認する傾向にあったが、ツールを使用することで、日々の確認項目が増え、服薬指導が充実化したと考えられる。